綺麗に巻かれたソフトクリームを寝ぼけ眼で見つめもさもさたべる。これが旅の醍醐味よ。
目の前の大画面では愛くるしいフェイスで私の年収を1時間で稼いでしまうぬこ様の動画が流れる。右に並ぶおすすめリストの中にはむさ苦しい環境で狂った調理を施すアルコール野郎の動画。
ログインしてないのになんでだろう。見抜かれてる?少なくとも昨日のんだお酒のほうが上品だぞ。と、愚痴をこぼしながら寝転ぶ。
うつらうつらしながら漫画を読む。読んでるけど頭の端では何時頃チェックアウトするか、その前に誰か呼び出してちょっと構ってもらおうか。そもそももう一泊しようか。と逃避中なのにさらなる逃避計画を立てる始末。
「女の人って胸周りやお腹に大きく入れたがるんですけど、年取ると体型の変化で入れた柄も崩れちゃう可能性があるからオススメしないよ」
数年前出会った彫師の言葉が頭を過る。なんで今?カラスみたいに直感が鋭かった、多分あの時言ったでまかせも見抜いたかもしれない。
都会さながらに腐った思考を引っ提げて帰路につき部屋着に着替え飛んで夜7時。やれやれ。誰か私におやすみのキスをしてくれないかしら。
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