ゆっくりと見慣れた景色に代わり、霞のような雲の隙間から鋭利な光が差し込む
まだ朝の8時だというのに、日差しが痛そうで思わず「うぇー」と声が漏れる(小声)
目的の駅に着く。降りる。案の定無人駅。
私以外に降りたのは里帰りか、どこかから帰ってきた風の親子
母親は大きなリュックを背負い子どもはピンクのポシェットを蹴りながら進む
娘は改札を走り抜ける(無人駅だからガード付きのあれがないんだ)
母がまとめてSuicaを翳すのかと思ったが鳴り響いたのは1度だけ
子ども用のピヨピヨという音声もないし、切符らしきものを持ってないし、取り出す素振りもない。
なるほど、こうしてキセルを覚えるのか
ヤンキーやギャルっぽくない見た目でもしれっとやるのが地方あるある。
秘密だよ
おっけーぐーぐる。場所を確認。その前にコンビニでトイレを借りる。使用料としてガムを買う。
方向確認して進む
スマホを落とす
慌てるな
持ち直す
一歩前に
また落とす
場所を覚えて鞄の奥底にしまう
進む
横断歩道も慎重に
沢山の赤赫赫
うわぁ
こんにちは
すんごいたまにしか行かなくても、作法が自然と出てくる
まず一例
端を通る
連なる赫をくぐる
馬鹿みたいに暑かったのに
すぅって、息が薄くなる
ちっちゃい石橋を渡り到着
お賽銭を出す。新札
入れる。がらんがらん。
ぶつぶつ
ぺこり
護ってる狐様にも丁寧に挨拶
深呼吸をする
ゆっくりと、だけどはっきりした足取りで元来た道を戻る
振り返らないで
現実に戻る。
もう一度振り返り頭を下げる
ちゃんちゃん
250721
