私が10年余りの活動をして、地獄まで捨てきれない人が3人いました。
1人目は尖り方が私と似ていました。いや、尖りの成熟具合は向こうが長いので私がその人に似ていたのでしょう。根本は後先考えず誂えたようですが、段々と癖が出てきて、最終的にシンプルなものになりました。私のは癖がやっと定まったようですが、ここから無駄なものを削る作業に映るということが想像できないです。ということを呟いたら「想像するから駄目だ」その人はおっしゃって、それ以上の事は言いませんでした。なぜ私の目を見たのでしょう。
2人目は才能と体のバランスが最低でした。話を聞くと才能の存在は知ってる、伸ばし方も知ってるけどそれをする体が拒むと彼女は言いました。「昔からそう、病弱で学校行ったりいかなかったりして勉強の速度も理解度も追いついてないのに課題は平等に出される、それが仲間はずれにしない唯一の手段と思ってたのね、親も友達を作れと永遠にいうし、だから今私は地元を棄て定職に絶対つかないと決めたの。今はその途中なの、やっと呼吸が出来るようになったの」
彼女はそう言ってハイライトに火をつけた。
3人目は…….私もなぜ惹きつけられたのか分かりません。その人が目の前にいても、会った後1人になっても言葉で表すことができませんでした、でも私の中にずっといるのです。
本質的な何かが合致したのかな。それ突き詰めることが野暮な気がして考えることを辞めました。
辞めても消えることはなく、むしろ存在が大きくなります。私より奔放で私より頑なで私より繊細です。それ以上形容したら、どちらかが先に壊れます。
未完の手紙
