hairi-gift

短歌

2022短歌

掌に映る美人が泣いている今夜は私が貴方のダーリンやれやれと肩をすくめてみるものの案外私もお前も同胞確信犯霞んだ隘路の決定打優しく狡く甘い香り
Poem

赤い人

ねえ赤いマフラーのお兄さんどうしたのそんなに慌てて今にも星が落ちてきそうな空なのに星よりも夢中な人がいるのねその意味を学んだ私は甘いケーキと苦いお酒を持って弾んだ気持ちと追いかけっこ急いで急いで空を見る暇もなく小さな手を重ねた雪の精とすれ違...
Poem

某夜更け

ネオンが夜を支配する街から見放された古いアパートのワンシーンレポートの最後の一文字を打ち込んだ新聞紙で5年前愛した男の名前を見つけた心の支配者へ苦情の手紙を書きつけた明日の展覧会の原稿を書いた尊敬する詩人のスクラップをなぞったお気に入りの銘...
Poem

Are you Monster/Sweet?

ポストに入った白紙の藁半紙月光に翳すと浮かぶ筆記体それは年に一度開かれる不気味なパーティーの招待状今年のテーマはペルソナドレスコードは仮面この日のために誂えた朝焼けを映したドレスに袖を通し長い嘴を持つマスクをつけたなら迎えのベルが鳴り響く今...
Poem

闇よ

宵に顕わる幽かな光に拐かされ今夜も逢えるかと闇に手を伸ばす独りと独り光と独りひとひらの慾望を暗澹に包んで哀しい季節に移ろう私の心も虚ろう闇よ夜よもう少し長く私のそばにいて
Poem

失楽園

非道な天使の遺言は青天を貫く楽園の樹は暴発し果実に擬態する禁忌は形骸した惑星へ溢れた取り残された霹靂は自殺未遂胡乱な記憶を彷徨い法螺吹きヴィーナスの愛を請う「曰く付きの幸福を」形式的に祈る彼女の贖罪は現在進行系夢喰う獏は冥界に赴き死人の記憶...
Poem

待合室

捻くれた大人が独り待合室にいる微動だにしない動物や軽やかな音を無いものとし自我を爆発させる小さな哲学者の自論が空間のあちこちから響き渡る思考は跳ねるスーパーボールのように跳ねすぎて迷子になるでもいつか戻ってくる自由すぎて難しい自己主張の塊で...
Poem

鬱くしい

この瞬間が1日で1番好きな時間画面に映る彼女はそう言い平凡な呼吸で非凡な量の煙を吐いたそれは彼女の中に沈殿してる醜い結晶が蒸発したようで鬱くしかった暗い部屋ちょっと引きこもりな少女が画面越しに邂逅した匿名の彼女夜道で話す姿は"普通"なのに彼...
Poem

一騎打ち

愛しい愛しいわたしのダーリン今どこにいるの?静寂しじまを支配する狂気の産声酩酊した箱庭で味わった享楽五回も戯れたのに物足りないなんて笑えない冗句はやめて欲しいわ初めてのベッドは人間性と時間勝ち取った時間は溶けていた悲しい時は嗤い嬉しい時は目...
Poem

植物を飾れば気持ちが安らぐというから試しに一本、きれいな花を持ち帰った早く枯れないかなって期待してた気持ちはそんなに変わらなかった