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前夜話

生まれたての街を照らすすべてを巡る夕景錆びた自転車、ねむる花、できれば毛布も燃やしてください張り出された言葉遣いを反芻する本物の月は赤くないところでなまぬるい風が私の中に逃げてきた何度目だろう扉に潰れた致死量の唄投げ捨てた誰がここが新しい店...
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点滅

数える事さえ忘れられた孤独の朝に反響を歪ませて棄てられる教則本電光掲示板で晒されるおまじない(隣町の子猫が生贄に)例え話にもなれないくらいなら、と掘り続ける汚点に溢される題名夜行列車と爪弾き寄せ合いの感情だって選択から脱落寸前なのに振舞い方...
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イルミネーション

目の前の本を開くか否か眉間に皺寄せる日よ覚えてない方の記憶を誰に委ねたら美しく終わらせる事が出来るか企てている残酷な街のささやかな親切のほうが何よりも煌めいて美しく映るって知ってるのはどれだけだろう秘密という名目の擦り付け華が選ばれた事で数...
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拝啓亡失

どうか話さないで最先端の賛美を貫く骨ここは鋭利で儚い恋の時代散らばる前の鱗であやして吸い込んだ毒能動的耽溺針の骸に誤魔化すオルゴールエンドロールはこのままこのままあなたの誰
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境界

聞いた事のある名を無視してひとつ飛ばした土地に降りる叶わぬ嘘は剥離したの「まもなく」と響く割れた音踏んで広げるタイルの焦げ目連ねて落とす罪と罰昨日が暮れた折の雨に等間隔の錠は嵩張って
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Lament

花占いには荷が重いかな誰もいない庭で2人でしてた願い事色彩が落ち着いた季節は影の輪郭がよく見えて街が静かになったら声もよく聞こえるすこし寂しい風が吹きふわり香りが届きますわたし、あなたが好きよ悲しい季節ね
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不適切な退路

か細い子供が眠る頃、灯される部屋があった。1人1人が微熱に浮かされたような顔つきであるものは蒙昧に、あるものは耽美に、あるものは艶やかに夜を縫った影が伸び匿名が濃くなる頃にはそれぞれの詩は絡み合い水槽の魚は硬水を元手に希う夜道から流れる祈り...
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ねむり

丹念に翳した夜半の恋は薄ら  薄ら燃えて形骸化した幽霊それらしき視野は月明かりの前では只の屑でして星になろうなんて今時短冊に書くものなんてありゃしませんのでいつかの影を舐めようとした匿名の鱗名を認めたら受け付けてしまうのです一種の……虚ろい...
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数年後は孤独の時代だよ。

煮え切らない記憶を擦り合わせていた未成年の放課後そこにいた人が幼かったのは幼い時に会ったのが最後だったから。自分の姿がガラスに映らなかったのは己は判断不可だから。14歳の答え合わせなんて最初で最後の言い訳合戦なのに好きだった人の言葉は今も昔...
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ふわふわの途中

あの空洞に飛び込むと条件反射で自分の嫌な癖を考える嫌な記憶はその記憶だけ忘れればいいのにそうもいかないのは人間の欠点で記憶どころかその時間軸にいた事実すらなかったことにする学校や近所の記憶を捨て病気の記憶を携えてひとり飛び込む私がぽっかり抜...